
『Citizen Sleeper』はJump Over the Ageが開発し、Fellow Travellerによって2022年にSteamでリリースされました。
筆者も先日、このディストピアSFの世界を無事に生き抜き、無料DLCのエンディングまでたどり着きました。

もう2が発売されているのニャ。
1はかなり以前に買って、なかなか取り掛かれなかったというのがありますね。
今回は、派手なアクションゲームとは一線を画す、心に深く染み渡るような本作の魅力とプレイ体験を振り返ります。
『Citizen Sleeper』クリア!レビュー・評価・感想
派手さは一切なし。淡々とした文章で編まれる濃厚な物語
本作に、画面を埋め尽くすような派手なエフェクトやアクション要素はありません。ゲームの基本は、美しいアートワークと、淡々と、しかし極めて緻密に描写されるテキストを読み進めていくことで進行します。
宇宙ステーション「エル・エラ」の片隅で、資本主義の奴隷として作られた人造人間(スリーパー)である主人公が、過酷な現実の中でどう生きるか。
まるで一冊の極上のサイバーパンクSF小説を、自分の手でめくっていくような贅沢な時間を味わえます。サイバーパンクやSF小説が好きな人にはかなり合う内容ですね。

文字を読むだけで、その世界の匂いや空気感が伝わってくるようなゲームなのニャ。大人のためのSF体験なのニャ!
2体調が「ダイスの数」を決める、TRPG風のユニークなシステム
ゲームの核となるシステムは、テーブルトークRPG(TRPG)に近いダイス管理です。
毎朝、目覚めるといくつかのダイスが振られます。プレイヤーは、街での作業やハッキング、住人との交渉といった様々なアクションに、手持ちのダイスを配置して行動を決めていきます。
基本的には出目が高いダイスほど成功率が高くなる仕組みですが、面白いのは「主人公の健康度(コンディション)が下がるほど、毎朝振られるダイスの数が減っていく」という点です。
体がボロボロになると、1日にできることや選択肢が物理的に狭まっていくリアルさは、本作ならではの緊張感を生み出しています。

体調が悪いと朝起きるのがツラくて、何も手につかなくなる……。人造人間なのに、妙に人間臭くて親近感が湧くシステムなのニャ。
管理さえ怠らなければ、ゲームとしての難易度は優しめ
「コンディションの低下」と聞くと難しそうに思えますが、ゲームとしての難易度自体は決して高くありません。
基本的には、毎日少しずつ減っていく「健康度」を維持する薬を買い、減っていく「空腹度」を満たすために食事をする。この2つのパラメーターの管理さえ怠らなければ、詰まることなくゲームを進められます。
こういう日常の繰り返しは、前回レビューした『パンチクラブ2』にプレイ感覚が似ていますね。

過酷な世界観でありながら、プレイヤーを理不尽に突き放さない優しいゲームバランスになっているのも好印象です。

毎日しっかり食べて、ちゃんとお薬を飲む。基本の自己管理さえできていれば、誰でもこの世界を生き抜くことができるのニャ!
失敗すらも一つの結末。正解のない「人生」としてのエンディング
本作には時間制限(サイクル制限)が設けられたイベントも存在します。しかし、たとえ時間内に間に合わず、イベントをこなせなかったとしても、落胆する必要はありません。
「こなせなかったことも含めて、それもまた一つの人生」と受け入れるのが、本作の正しい楽しみ方と言えます。
ゲーム中の様々な選択によって物語は多様に分岐していきますが、そこには「ハッピーエンド」や「バッドエンド」といった単純な優劣はありません。
どのエンディングになろうとも、それがあなたが選び、悩み、生き抜いた「正解の物語」なのです。
筆者自身、クリアした瞬間に「これが自分の真のエンディングだ」という強い納得感を得られたため、あえて「別のルートを試して別のエンディングを見よう」とは思いませんでした。
それほどまでに、1回目のプレイで作り上げた自分だけの物語が愛おしく、完成されていたからです。

何が正しいかなんて、他人が決めることじゃないのニャ。筆者が選んだ道が、そのまま筆者だけの輝かしい歴史になるのニャ!
総評:じっくりSFを味わいたい人へ
総評として、ゲーム全体の雰囲気や世界観の構築がとにかく素晴らしく、「じっくりと腰を据えてSF小説を読みたい」という人にはこれ以上ないほど刺さる傑作でした。
すでに続編である『Citizen Sleeper 2: Starward Vector』もリリースされているため、筆者もそのうちプレイする予定です。
再びあの深く、静かな宇宙の物語に飛び込める日を楽しみにしています。

選択の重みを知る、最高のソリティア……ならぬ人生シミュレーターだったのニャ!2が始まったら、また筆者の選択を隣で見守るのニャ!
