『Age of History 3』レビュー・評価・感想ー劣化『EU4』?前作との比較も

ゲーム評価シミュレーション, レビュー

AOH3

古代から現代までの国家でリアルタイム4Xシミュレーションゲームが楽しめる『Age of History 3』。

Łukasz Jakowski Gamesによって、2024年10月23日にSteamで配信されました。

前作である『Age of History 2』の再評価レビューも前回おこなったので合わせてご覧いただければと思います。

前作ではターン制だったのに、本作ではリアルタイムになったのニャ。

前作はターン制ということで独自性があったのですが、本作はよくいわれる劣化『EU4』になってしまった感は強いと思います。

ただ本作には『EU4』にはない魅力もあります。

今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。

 

どんなゲーム?

前作からの変化

前作の『Age of History 2』(以下『AOH2』)からの大きな変化としては、前述したようにターン制からリアルタイムに変わったことです。

前作は『EU4』の劣化というよりも、ボードゲーム『Risk』の進化版といった内容でした。

戦争も兵数の引き算になっていて、ボードゲーム的にはわかりやすい仕様になっています。

そもそものゲームデザインが『EU4』とは違いますので、ボードゲーム的な作品といえますね。

『AOH2』はあくまで独自の作品だったのニャ。

前作からは進化したというよりも、べつのゲームデザインになったと考えたほうがいいでしょう。

さすがにターン制とリアルタイムは、ゲームとしては別物ですしね。

劣化『EU4』?

本作ですが、リアルタイムになったことにより、『EU4』との直接的な比較に直面してしまいます。

それで『EU4』と比較すると、いろいろな要素を抜きまくった『EU4』といった印象になっています。

ゲームスタート時にライバルを3国選ぶ仕様も『EU4』からですし、アドバイザーをつけるあたりも完全に『EU4』の仕様であって、オリジナリティの面からするとそのまま『EU4』から輸入してきただけに思えます。

『EU4』をやっている身からすると、「じゃあ『EU4』でいいじゃん」みたいになってしまいがちです。

筆者としてはターン制だった前作を、ターン制のまま進化させたほうが独自路線を進めたのではないかとは思います。

本作はオリジナリティの面が弱いのニャ。あくまでリトル『EU4』なのニャ。

ただ本作は『EU4』に比べて長いタイムラインが魅力です。

古代から現代までカバーしており、たとえばユニットには戦車や戦闘機、果てはロボット兵みたいなのまであります。

クリック多めの内政

本作からは『EU4』にあるような「人的資源」の概念も入ってきていますし、法律や税率、インフラ、成長率など、前作に比べるといろいろな要素が一気に入ってきています。

最初はとまどうかと思いますが、やることといえば、いわゆる『EU4』のDEVポチのようにポチポチ押していくだけです。

たとえばインフラを上げたければ、インフラを上げるボタンをポチッと押すだけです(資金が必要)。あとは時間とともにプログレスバーが進んでいき、完成するまで待つだけです。

人的資源を増やしたかったら、人的資源を増やすボタンをポチるだけ。

簡単なのニャ。

連続で増やしたい場合は、何回ポチるかの予約を入れておくこともできます。お金さえあれば国家はどんどん成長していきます。

それで国が少ないうちはいいのですが、国が増えていくとこのポチポチ押すのがけっこう面倒になってきます。作業感は強くなっていきますね。

国が増えるとマイクロマネジメントが面倒になるのは、本作だけでなく、4Xゲームの宿命ともいえます。

とはいえ、本作はクリックがけっこう多いので、だんだん大変になっていきます。

いちおうマウスの中ボタンを押しながら範囲選択で、一気に複数のプロビを選ぶことができます。ただ微調整が難しく(選択後に一気に開発が始まる)、一気にお金が減ってしまったりといったアクシデントもあるので、正確にやりたければやはりポチポチ押していく必要があります。

ユニットの増えた戦闘

前作の戦闘は兵数のぶつかり合いだけでしたが、本作ではユニットの種類という概念が追加されました。

ユニットは古代から現代まで用意されており、前述したように戦車や戦闘機も登場します。

戦列の概念も追加され、『EU4』のように前列と後列があります。前列には側面(騎兵)もありますね。

各部隊には将軍も割り当てることができます。士気や移動速度の概念も追加されました。

前作からかなり強化されたのニャ。

ただ基本的には『EU4』とおなじで戦闘幅があり、前列の中央には歩兵、側面に騎兵、後列には弓兵など遠隔攻撃ユニットが配置されます。騎兵は少なめ、後列は前列の数を越えない程度という『EU4』のルールをそのまま適応できます。

あと海軍はありませんので、海を越えるときに輸送を考えなくてもいいのは楽です(勝手に海を渡ってくれる)。その一方で、海軍の強いイギリスとかが特徴無くなってしまいますね。

遺産の概念

本作では「遺産」という概念が追加されました。

これもそんな難しい話ではなく、遺産ポイントを貯めて、それをつかって行政・経済・軍事などの分野から遺産をアンロックしていくというものです。

遺産をアンロックすれば、それぞれの分野でさまざまなボーナスが追加されます。

たとえば行政の遺産で「効率的なインフラ」をアンロックすれば、建設費や建設時間が短縮されます。

幅広くとっていくより、自分の国家方針に合うものをアンロックしていくのがいいでしょう。

技術の概念

遺産以外に「技術」の概念も追加されています。

これは『シヴィライゼーション』シリーズのような技術ツリーから、技術ポイントをつかってアンロックしていくというものです。

技術は進捗がけっこう遅いので、そのうちアンロックされたらいいぐらいで気長に待つのがいいでしょう。

最初のうちはインフラとかの、国家の成長に直接影響が出るものを重視したほうがいいとは思います。

それと「文明アドバンテージポイント」というのが最初からもらえ、これをつかって好きなボーナスを取ることができます。国家をどの方向に成長させるかで選ぶのがいいでしょう。

外交と文明形成

外交は前作よりも複雑化しており、『EU4』にかなり近い形になっています。

属国や防衛協定、不可侵条約、独立保障、通行権、スパイを送るなど、コマンドがいろいろ増えています。

また一定の条件に達したときに新たな文明形成をすることができるようになりました。

たとえば大日本帝国をつくる条件として、164のプロビをおさえるなどですね。

定価の安さ

本作の一番大きなアドバンテージは、定価の安さです。

『EU4』的なものが1,400円(税込)で買えてしまいます。セール時だと1000円以下で、『EU4』のDLCより安い状態です。

『EU4』はDLCを入れることが条件のような内容になっているため、コスト面を考えると買い切りで済んでしまう本作は十分に魅力的です。

 

総評

リアルタイムになったことにより、『EU4』との比較があからさまになってしまったことで、本当の意味で劣化版『EU4』ともいわれるようになってしまった本作ですが、わかりやすいシステム古代から現代までのタイムラインなど、『EU4』には無い要素もあります。

また1,400円という定価は安く、開発者もいまのところアップデートに積極的なので、十分もとを取れる内容にはなっています。

すでに『EU4』を楽しんでいる人はわざわざ買う必要はないとは思いますが、ちょっと違うものが遊びたいとか、いまから『EU4』的なものがやりたいという方にはいいんじゃないかとは思います。

コスパは良いのニャ。

後日、本作の初心者向け攻略記事も書いていこうとは思います。