『春ゆきてレトロチカ』レビューと評価・感想ー映像はすばらしいものの推理パートに難あり
実写アドベンチャーゲーム『春ゆきてレトロチカ』。
スクウェア・エニックスによって、2022年5月13日にSteamで配信されました。
人を集めるのも大変ですし、セットや衣装の用意もしなければなりませんので、近年はすっかり減りましたね。光学メディアの勃興期には多かったのですけどね。
さきほどやっとクリアしたので、今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
ちなみにクリア後に注意しなければならない「真エンディング」がありますので、そのことについてもネタバレ無しで言及します。
この真エンディングを観ないと、話がちゃんと終わらないのですね。それにもかかわらず、非常にわかりづらい形で提供されています。
そのため「真エンディング」の存在を知らずに、そのまま中古屋へ売却ということがないように注意してもらいたいです。Steam版はその心配が無いので大丈夫だとは思いますが。
どんなゲーム?
本作は実写ムービーとアドベンチャーゲーム、推理ゲーム、ついでに脱出ゲームを合わせたミステリー作品になっています。
基本的にストーリーは一本道で、選択肢によって分岐したりというのはありません。
途中に選択肢が出てくることもありますが、推理パート以外はどれを選んでも話はどんどん進んでいきます。
本作のメインとなるのは推理パートです。
画像のように、手掛かりの書かれた六角形のタイルを、ボード上にはめていくのですね。
正しい場所に置かないとはまりませんので、推理が思いつかなくても、ぶっちゃけ総当たりすれば何とかなってしまいます。
そのため謎解きパートはそんなに難しくはありません。
ただタイルを置いたときに、推理を聞かされるのですが、このときの文字表示が遅くてテンポが悪いです。
タイルをたくさん置くと、それだけ多くの推理を聞かされて、だんだんとうんざりしていきます。オプションで文字速度を早くできるようにしてほしかったですね。
さらに推理後に、実写パートに戻って事件解決が始まるのですが、このときに失敗するとまた推理パートに戻されます。すぐに実写パートに戻れますが、それだったら、「実写パートから再開する」みたいな選択肢がほしかったです。
とにかく推理パートはテンポが悪いですね。
さらに問題なのは、脱出パートです。
某所から抜け出すのですが、脱出ゲームの謎解きをやらされます。
謎自体は難しくないのですが、それなりに考えて答えを出さないといけません。こればかりは総当たりではどうにもならない。
脱出パートはゲーム時間を引き伸ばすために用意された感じなので、正直どうかなとは思います。
映像や役者さんの演技は非常によいのですが、ゲームとしてはどうなのかなというのが感想です。
真エンディングについて
本作をクリアすると、タイトル画面の下部に「メールが届きました」みたいな感じのものが出てきます。
これを再生させることで、本作の真エンディングである「最終章」をプレイすることができます。
というか、これをやらないと物語がきちんと完結しません。
けっこう気付きにくいので、画面中央に「最終章が解除されました」みたいな大きな文字で教えてほしかったです。
Steam版では関係の無い話ですが、コンシューマ版の方は注意したほうがいいでしょう。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「やや好評(77%、342人中)」になっています。
映像は本当に良いのですけどね。ゲームのほうがなんとも……。
本作の良かった点・悪かった点については以下のとおりです。
・ストーリーや映像、役者、衣装、すべてすばらしい。
・ゲームの雰囲気が良い。
・ノスタルジックなBGMが好き。
・内容や人物関係を振り返れるようになっているので、途中でわからなくなっても大丈夫。
・とにかく推理パートのテンポが悪い。
・パッドだと操作性に難あり(マウス+キーボードは使いやすい)。
・脱出パートがいらない。
・ゲームと言うよりは、映像の合間にミニゲームをする感じ。
映像自体の良さで文句をいう人はいないようですが、やはり推理パートや脱出パートなどの「ゲーム部分」に不満が集まっていますね。
総評
ストーリー自体は謎を残さず、きちんと解決されていますので、そこは高評価です。
また状況の振り返りもできるので、ユーザーフレンドリーに作られた作品になっています。
ただやはり「ゲーム部分」が問題ですね。もう少し文字の速度を早くするなどで、テンポアップをしてほしかったです。
映像はすばらしいので、ドラマを楽しむ感じでプレイするのがいいかなとは思いました。
近年で少なくなった、貴重な実写ゲームなので、今後もこのような作品が増えてほしいとは思います。