「Humble Monthly」が「Humble Choice」になった理由ーゲーム配布型サブスクリプションの限界?【特集】

2020年2月8日バンドル・セールHumble_Bundle, Humble_Choice, バンドル

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Humble Bundleの月額制ゲーム配布サービス「Humble Monthly」が、今月12月より「Humble Choice」に変わりました。

前回、「Humble Monthly」と「Humble Choice」の違いや使い方を特集しました。今回はなぜHumble Bundleが「Humble Choice」のサービスを始めたかについて考察していきたいと思います。

前回の記事は以下のリンクから。

 

値段の大きな差

前回の記事でも述べましたが、「Humble Monthly」と「Humble Choice」では値段に大きな差があります。

プラン 月額 ゲーム本数
Lite 4.99ドル 0
Basic 14.99ドル 3
Premium 19.99ドル 9
Classic 12ドル 10

「Lite」「Basic」「Premium」は今月から新規加入する人のためのプラン。

「Classic」は既存ユーザーがそのまま今月に突入したばあいに、自動的に適応されるプランです。

「Premium」は値段が12ドルから19.99ドルに跳ね上がったうえ、アンロックできるゲーム本数も10本に対して9本だけとかなり不公平感があります。

じっさい不公平ニャ。

19.99ドルだと、好きなゲームを直接買ったほうがいいんじゃないかという値段なので、これを契約するかどうかはけっこう悩むところでしょう。

またゲームのダブリ問題もあるので、中途半端にダブってしまったばあい、19.99ドルは割に合わないばあいが多いかと思います。

 

「Premium」は既存ユーザーの囲い込みのため?

これだけ不公平な値段と条件を突きつけられると、これから加入しようという人は少なくなるのではないかと思われます。

新規ユーザーを増やす気はあるのかニャ。

値段の違いはまだ許容範囲だとしても、もらえるゲームの本数の違いはどうなのかなという気はします。

値段は高くてもサービス自体は同等に受けられるならまだしも、サービスが劣化しているとなるとやはりいい気はしないでしょう。

そのためHumbleは新規ユーザーを取り込むことより、既存ユーザーを逃がさないことを優先する戦略を取っているように思えます。

サブスクリプションのビジネスモデルで重要なことはMRR(月間定額収益)をいかに安定させるかです。

あるていどのユーザーを獲得したのちは、新規ユーザーを増やすことが困難になるので、既存ユーザーをいかに逃がさないかに力を使うことになります。

急に「Humble Choice」を始めたのは、おそらく解約率が高くなってきたからではないかと推測されます。

前もって「Humble Choice」の宣伝を打つことによって解約に歯止めをかけ、なおかつ新規加入を増やすことができます。

また「Humble Choice」が始まったのちは、「やめると損」という心理が働きます。

いわゆる「損失回避性」というもので、人間は利益を得られることよりも失うことのほうを怖がります。この性質はよくビジネスで利用されます。

新規ユーザー獲得よりも解約率を低くするほうがメリットがあるとの判断から、今回の「Humble Choice」に踏み切ったのかもしれません。

 

サブスクリプションによるゲーム配布の問題点

ゲーム配布サービスの難しいところは、配布されるゲームをユーザーが持っているかもしれないという点です。

遊び放題サービスと違って、ユーザーが契約するかどうかを毎回選択しないといけない状況というのは、サブスクリプションモデルとしては解約率の上昇につながってしまいます。

NetflixやAmazonプライムなどは、ぜんぜん利用していなくても、契約を続けるかどうかに頭を悩ませることはあまりないでしょう。

しかしゲーム配布サービスの場合は毎月考えないといけないため、「解約」という発想が出てきてしまうのです。

サブスクリプションモデルはユーザーに解約を意識させてはいけないのニャ。

今回「Humble Choice」で、既存ユーザーを逃がさない戦略を取ったのは、ある意味正しい判断なのかもしれません。

 

今後考えられるHumbleの戦略

「Humble Choice」にしたとしても、解約自体はかならず発生するものです。

それを埋めるために新規ユーザーを獲得する必要があります。

いまのプランじゃきびしそうニャ。

一番ありそうなのは、期間限定での「Classic」プラン加入のキャンペーンでしょう。

また解約率と加入人数のバランスが悪くなってくれば、「Premium」プランのゲーム本数を10本にして「Classic」プランと同等のサービスを受けられるようにするかもしれません。

「Classic」プランのプレミアム感はなくニャるけど、最終的にはそうなりそうニャ。

現時点では、新規加入者はサブスクリプションモデルに組み込まれるというよりも、お金を払って選択式バンドルを買うという形になってしまっているかと思います。

もはやただのバンドル購入ニャ。

サブスクリプションによるゲーム配布の難しさといったところですね。

 

まとめ

「Humble Choice」はおそらく解約率上昇を防ぐための一手です。

すべてのゲームをオープンにすることにより、ユーザーが選んで買えるようにする――つまりは、新規ユーザーに対してはサブスクリプションではなく、その場その場で買うかどうかを決められる選択式バンドルにしたということです。

14.99ドルや19.99ドルもそれに合わせた、ふつうにバンドルを買う値段になっています。

Humble Bundleが毎回その値段帯ニャ。

ゲーム配布でのサブスクリプションモデルに無理が出てきたのが、やはり大きな原因に思われます。

「Humble Choice」リンク

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