『Fabledom』レビュー・評価・感想ーおとぎの国の建設シミュレーション【Steam】
おとぎ話の世界を舞台にした町づくりシミュレーションゲーム『Fabledom』。
Grenaa Gamesが開発し、Dear Villagers, Doyoyo Gamesによって、2024年5月13日にSteamで配信されました。

戦争要素はありますけど、ほのぼのしたものですね。
今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
どんなゲーム?
おとぎの国で町づくり
本作は魔法や魔物たちも存在するファンタジー世界での町づくりゲームです。
ゲームの雰囲気としては、町づくりと戦闘を合わせた人気シミュレーションゲーム「セトラーズ(The Settlers)」シリーズに近いものがあります。実際、本作の開発者は「セトラーズ」に影響を受けたと述べています。
それと筆者的には「Cultures」シリーズというバイキングの町づくりシミュレーションゲームとも似ているように思えました。
ほんわかしたおとぎの国の雰囲気のなか、規模の小さな町づくりをする感じですね。人口が増えたり減ったりで、『Banished』をぬるくしたようなプレイ感覚です。250人まで達成できれば、ゲーム的には大人数あつかいですね。
いちおう『Banished』のように冬越えがひとつのヤマ場になりますが、そこまでカツカツのプレイを強いられたり、いつの間にか全滅したりみたいな感じにはなりにくいので、のんびりプレイできます。
初心者でも楽しめるカジュアルシミュレーションといったところでしょう。
ただあくまでゲーム前半の話でして、町の規模が大きくなっていくと、そこそこ管理が大変になってきます。
あまりのんびりしすぎると資源がカツカツになったり、住民が餓死したりしますので、そのあたりはちゃんとサポートしてやる必要があります。
だんだん厳しくなっていく感じも『Banished』っぽいとはいえますね。
ゲーム自体はかなりオーソドックス
町づくりゲームとしてみた場合は、かなりオーソドックスな内容になっています。
道路を敷いて、農場や木こり小屋をつくって・・・といった、この手のゲームをいくつも遊んでいる人からすれば「またかよ」みたいな展開になります。
おとぎの国が舞台になっているということ以外に、正直なところ目新しさはほとんどありませんね。
ちなみに筆者は、「セトラーズ」シリーズはほぼ全部遊んでいますので、既視感がかなりすごいことになっています。
「セトラーズ」シリーズ+「Cultures」シリーズ+『Banished』+『Kingdoms and Castles』のいいとこどりをして混ぜ合わせた感じになっています。
筆者的にそこまでのめりこめなかったのも、システム的な新しさがなかったというのがありますね。特徴的なものは結婚ぐらいでしょうか。
なんにしろ、ひっかかるものがなかったという感じです。
逆にいえば無難につくっているということにもなりますね。
おとぎの国の身分制度
本作の住民には身分があり、「平民は農民を嫌う」ので、平民の近くに農民を住ませないようにしないといけません

現代を舞台にした『シムシティ』とか『シティーズ:スカイライン』にこのようなシステムを持ち込んだら炎上間違いなしとは思いますが、封建社会だとむしろ身分制度はあたりまえなので、それはそれでいいとは思います。
ただこのシステムがけっこう曲者でして、だんだんと建物の配置が面倒になってくるのですね。
正直なところ、プレイしていて何度平民を追い出したくなったかわかったものではありません。
誰がおまえらの食い物つくってやってるんだと。
そして農民は平民になれませんので、けっきょくこの身分闘争はどうにもならないわけです。

戦闘やイベントはあくまでおまけ程度
おとぎの国が舞台なので、それに沿ったようなイベントや魔物との戦いがありますが、基本的にはゲームのメインになるようなものではありません。
イベント関係は、メタ的に見ればだいたいがデバフが付与されるというもので、おとぎの国である必要性はあまり無いような気もします。
戦闘もガチのRTSをやるわけではなく、フレーバー的なものなので、奥行きのあるものではありません。ユニットも英雄と兵士ぐらいです。
結婚はけっこう大変
本作の大目標として、近隣の領主との結婚があります。
これがけっこう大変で、さまざまなミッションをこなして近隣のご機嫌をとりつつ、結婚式に必要な資材も集めなければなりません。
まともに集めるとかなり大変なので、交易をつかうのがいいですね。それも結婚式直前のまとめ買いをしたほうがいいとは思います。

それと結婚式場のために貴族を迎えなければならなくて、そのための宮殿づくりにも大金が必要。まともにやろうとするとかなり大変です。
大目標なので大変なのは仕方ないですが、根気のいる作業になります。
総評
本作はきわめてオーソドックスにつくられた作品です。
尖ったゲーム性を求めるプレイヤーや、この手のゲームをよく遊ぶプレイヤーにとっては、どこかで遊んだことのあるようなプレイ感覚になるため、目新しさの面ではかなり弱いと感じました。
ただおとぎの国を舞台にしたゲーム自体の雰囲気はよく、グラフィックなどに魅かれた方や、あまりこの手のゲームを遊んだことがない方には、とても遊びやすくてよいゲームになっています。
チュートリアルも丁寧なので、指示にしたがってプレイすればちゃんとゲームシステムが理解できるようになっています。
ほんわかした町づくりゲームがプレイしたい方はぜひ本作を遊んでみてください。