『三國志14』のSteam評価が「賛否両論」に持ち直す【配信10日後】|三国志14
1月16日にSteamで配信された「三國志」シリーズ最新作『三國志14』。配信当初は「ほぼ不評」でしたが、ゲームが起動しないことや最適化の問題など、ゲームの内容自体と関係のない部分が不評になっていました。
さすがに配信日にゲーム内容を論じれるとは思いませんが、配信から10日経ったいまでは、内容に対する評価が多くなり、「賛否両論」(好評44%)まで持ち直しました。
だいぶ持ち直したほうだと思いますよ。
今回は本作配信から10日後、Steamユーザーにどう評価されているかについてお届けします。
ゲームの動作について
配信直後で一番問題になっていたのが、ゲームの動作です。
起動しない、動きが遅い、ムービーがピタピタ止まるなど、最適化やグラフィックボードの指定がうまくいってなかったことが不評の原因になっていました。
動作が重い方は以下の記事を参照してください。
現在はあるていど解消したようですが、Steamストアの直近の評価を見てみると起動しないなどの書き込みはまだまだ見られます。
家庭用機と違って、PCのばあいは環境がまちまちですからね。グラフィックボードもPCごとに違いますし、それにぜんぶ対応しようとなると難しいでしょう。
ただデフォルトで「ボイス」が「なし」になっていたりなど、あきらかなチェック不足もあります。
いまはパッチでなんとかなってしまうので、とりあえず配信してあとから直そうというスタンスが多くなっている気はします。
本作で好評だったポイント
ここからは内容について論じていきます。
Steamストアの「好評」で多かったのは以下のポイントです。
・一枚マップのシステムが『三國志9』や『三國志11』のようで面白かった。良リメイク作品ともいえる。
・武官も文官も十分に活躍できる。
・PK(パワーアップキット)ありきで要素を減らしたりしていない。普通に遊べる。
・土地の塗りつぶしシステムが新鮮。補給線という概念がいい。
・委任AIが賢い。
・敵がゾンビのように次々と押し寄せたりしない。
・リソース管理(とくに兵糧)が大変だけどそこがいい。
・内政が攻撃(領土拡大)にもなる。
・武将の個性(差別化)が良くできている。
筆者としても『三國志13』のときのような不満はありませんね。
『三國志13』は、敵がどんどん押し寄せてくるというのが本当に最悪でした。戦争に負けたのに、あんなにつぎつぎと軍を送れるという状況がそもそもおかしいかと思います。普通だったら厭戦気分になるでしょう。
このシステムは『信長の野望・大志』でも使われていて、ひたすら敵が押し寄せるだけのゲームという感じでした。
今回はそういう状況が減ったため、まったり遊びやすくなった気がします。なんか最近のコーエーのシミュレーションゲームって、ひたすら忙しいものが多かったですしね。
名作の良リメイク
「好評」の書き込みで多かったのは、「『三國志9』『三國志11』のようで面白い」でしょう。
この2作品は筆者も好きなゲームです。
とくに『三國志9』は面白いのですが、いかんせん昔のゲームです。発売されたのは2003年ですから17年ぐらい前ですかね。そのころに生まれた子どもは、いまでは高校生ぐらいですよ。
『三國志9』は解像度の低さなど、いま遊ぶには環境的に厳しいものがあるでしょう。それをリメイクしたと考えるといいかもしれません。
また『三國志11』も一枚マップですが、ユニットを一つひとつ動かさなければならないことから、プレイ時間がかなり長くなります。もちろん一つひとつ動かすのも、ボードゲームみたいで面白いですけどね。敵を引き付けて罠で一網打尽にできたりしますし、あちらにはあちらの良さがあります。
本作で『三國志9』『三國志11』のファンから一定の支持を得ることができているようです。この2作が好きな人は、本作も合うのではないかと思います。
土地の塗りつぶしシステムが良い
本作では「領土の面積=収入」というシステムを取っています。
本作における「占領」は、敵の都市を取ることだけでなく、土地を塗りつぶすことも含まれます。
敵が都市を墨守しようと、その周囲の土地がぜんぶ塗りつぶされてしまったら収入激減です。下手に兵が都市にたくさんいようものなら、兵糧枯渇といった状況にもなってしまうでしょう。
土地の塗りつぶしができるのは出陣したユニットだけではありません。府に武将を配置することで、ターンとともに周囲がどんどん塗りつぶされていきます。内政を戦略に組み込むことができるのです。
また塗りつぶされた土地は補給線にもなっています。
占領領域をしっかり広げずに敵の都市へ攻め込めば、補給線を切られて動けなくなるといった事態も発生します。
このシステムにより、『三國志13』であったような「敵がゾンビのように押し寄せる」という事態が緩和されています。直線に攻め込むと補給線を切られますので、占領しながらになることから進軍速度が落ちますからね。
AIが賢い
委任AIが賢いというのはたしかで、プレイヤーがほとんどなにもしなくても、AIにまかせてクリアできたりします。以下のようなプレイレポートを書きました。
委任でイライラしないですむのはいいことだとは思いますよ。
武将の特徴が良く出ている
本作ではそれぞれの武将にいくつかの「個性」が設けられています。
たとえば諸葛亮なら「伏龍」があり、状態異常が戦法がかならず成功するというものですね。
個性は良いものだけでなく、悪いものもあります。たとえば呂布の「悪名」は、土地塗りつぶしに必要な兵力が増加してしまうといったものですね。
武将の能力については、「武将評価シリーズ」を連載していますので参照してください。
本作では副将システムがなくなりました。1ユニット1武将で、否が応でも武将の特徴が発揮される形となります。
それぞれの武将は使える陣形や戦法も決まっていますので、誰を使うかが重要になってくるでしょう。
とくに攻城戦では兵器持ちがいると、かなり速く都市占領ができます。いるといないとでは大違いですね。
それと猛将の戦法発動による一撃が強いのは、『三國志9』を思い起こさせます。
PKなしでも普通に遊べる
しかし『三國志12』はあきらかに手抜き作品でしたし、『三國志13』もテストプレイをやっていないような不満点が多く見られました。
本作も不満点はありますが、「なにかが足りない」という感じではありません。PK前提に、入れるべき要素をあえて抜き取ったという感じではないかと。『三國志12』のときはちょっと異常でした。
本作で不評だったポイント
不評ポイントですが、PC上での動作問題についてはすでに述べていますので省きます。
内容的な不評点は、以下のような意見が多かったです。
・ゲームの進行速度が遅い。
・10日ごとのターンなのでテンポが悪い。
・土地の塗りつぶしに時間がかかる。AIの動きが非効率。
・都市にいない武将に対してできないことが多い。
・クリアまでに時間がかかる。
・太守を任命できない→独立されてしまう。
・内政がつまらない。配置するだけ。
・武将の忠誠度が下がるのが速い。
・ゲーム中盤以降が作業。
・探索や人材登用のクリックが多くて面倒。
・陣形が出陣後に変えられない。
・文官が一騎打ちをする。
・攻城戦のムービーがうざい(これは環境設定のムービーをオフにすれば解決する)
進行が遅い
不評点で「進行が遅い」「テンポが悪い」はとくに多いですね。筆者も感じましたが、たしかにゲームとしては時間のかかるものです。
それと輸送や人材登用なども、行き来するのに日数がかかります。
10日ですぐにターンが来てしまうので、中盤以降はうっとうしく感じられるかもしれません。クリアまでに時間がかかってしまうのもたしかですね。
このあたりを『三國志13』のようにリアルタイム(日数を進めたいときに進め、止めたいときに止められる)にするという解決策もありますが、それだとゲームシステムを大幅に変更しなければならないかと思います。
パッチで変更できそうなのは、日数進行時の「倍速設定」をさらに速くすることぐらいでしょうか。システム自体の変更はPKに期待するしかないかと思います。
内政がつまらない
これは内政好きかどうかで意見が分かれそうなところです。
ゲームのリプレイ性を考えると、あまりガッツリとした内政はプレイテンポを妨げることにもなりますしね。『信長の野望・創造 戦国立志伝』の箱庭内政のように、初プレイ時は楽しくても、何度もプレイすることになるとうっとうしくなるかもしれません。
また『三國志13』のように、ひたすら部下たちの提案を承認クリックするのも面倒です。
本作は戦争に集中させるために、あえて内政を簡略化したというのがあるでしょう。ここは好みの問題なのでなんともいえないところです。
忠誠度が下がるのが速い
曹操とかはがっつり下がっていきますね。太守にしようものならすぐに独立です。ある意味リアルかもしれません。
委任AIに対しては、独立しそうな武将はあずけないようにしましょう。自分の配下にして、こまめに褒美をあたえておけばいいとは思います。
中盤以降が作業
あるていど勝ちが確定してしまうと、あとは作業になってしまうのは、この手の戦略ゲームでは避けられないことかもしれません。
「信長の野望」シリーズの「惣無事令」のように、条件を満たせばクリアみたいなのがあると、作業感が薄れるとは思います。
ただ降伏勧告はきまりやすくなったので、積極的に使っていくといいかと思います。
陣形が出陣後に変えられない
これは『三國志9』とおなじシステムにしたのでしょう。『三國志5』だと出陣後でも陣形変更が可能でした。
本作のシステムでは、補給線を切るため一時的に移動速度の速い陣形を使うといったことをし出すと、ゲームが簡単になってしまうような気もします。
陣を変えられるにしても、敵との戦闘中は変えられないなど制限を設けたほうがいいでしょう。
文官が一騎打ちをする
これもある意味シリーズ伝統というか、『三國志11』のときなど文官が普通に勇ましく戦っていましたしね。
「一騎打ちをしたくない」みたいな個性でも設けて対処すればいい気はします。
現状は、文官は戦場に出さないなどプレイヤー側で対処するしかないかと思います。
それと一騎打ちは、武力差がけっこうあっても負けたりすることが多いような気がします。
都市にいない武将に対してできないことが多い
褒美をあげたくても、武将が都市にいないとあげることができないのはなんとかしてほしいかなとは思います。
とくにこのゲームは人材登用やら捜索やらで、武将が留守のことが多いですしね。
人材登用をしても留守でいないということが多く、日数が無駄になってしまいます。
まとめ
不満はあるものの、『三國志12』や『三國志13』で感じたような「あきらかな手抜き感」がなくなったのはいいことだと思います。
武将の数も多いですし、PK前提でゲームをつくる姿勢が直ったのかなという気がします。コーエーテクモゲームス社内でなにか変化があったのでしょうか。ブラウザゲームに毛が生えたような『三國志12』のときは、本気でひどかったですしね。
そういえば本作は、発売前にデータ収集配信までしていますしね。やる気のある人が開発陣にいるのかもしれません。
委任AIが優秀なことやマイクロマネジメントの少なさから、リプレイ性が高くなっているのも良い点です。
現時点での大きな問題点として指摘されているのは、やはり「ゲーム進行の遅さ」でしょう。
10日ごとのターンに対して、移動時間がかかりすぎることが問題とは思います。出ていった武将には褒美をあたえることもできませんし、もどってきても褒美をあげるのを忘れてまたどこかへ送り出してしまうということもあります。
しかし10日ごとのターンはシステムの根幹になるので、修正するのは難しいかと思います。うまくいけばPKで変わるかもしませんが。
なににしろ、「普通に遊べる」ゲームに仕上がっているとは思います。
PK前提の手抜き感がないのはいいことです。
今回は開発側もユーザーの意見を積極的に取り入れるとのことです。意見をどんどん送って、細かい部分は今後のパッチを期待しましょう。