『Colonial Conquest』レビューと感想・評価:植民地時代を題材にしたデジタルボードゲーム
『Colonial Conquest』は、前回紹介した『Magnifico(マニフィーコ)』とおなじような『Risk』型の地域占領ボードゲームです。Argonauts Interactiveによって、2015年7月28日にSteamで配信されました。
『Magnifico』はルネサンス時代を題材にしたものですが、本作は列強が植民地獲得競争にのりだした第一次世界大戦前の時代を題材にしています。
今回は本作についてのレビューや感想・評価をお届けします。
ユニットと生産について
ゲーム開始時に、プレイヤーはイギリスやドイツ、フランス、日本など、列強の好きな国を選んでスタートします。
たぶんイギリスが一番強いと思うので、最初はイギリスでスタートするのがいいかと思います。植民地時代といえば大英帝国ですしね。
このゲームで使用するユニットは2種類だけです。歩兵と軍船です。
あくまでボードゲームとして単純さを追求しているのでしょう。ベースになる作品が『Risk』と思われますので、戦闘は単純化しなくてはなりません。ユニットに種類があるとそれが難しくなります。
ユニットは自国の工場マークのあるところで製造することができます。お金を払えばすぐさま完成するあたりも、ボードゲームっぽい簡略化です。HoI4などのParadoxゲームだと、生産にはけっこう時間がかかりますしね。
自ターンでの行動について
自分のターンでやることですが、歩兵の移動、ユニット生産、地域の要塞化です。要塞化をすると、その地域の守備力があがります。戦闘時に守備補正があるということです。
『Risk』や『Magnifico』との大きな違いですが、敵の領土にどれだけの兵がいるかをプレイヤーは知ることができません。
一か八かで仕掛けてもいいのですが、スパイを送ることによって相手の戦力を明らかにすることができます。これもボードゲームらしく、送った瞬間にすぐに結果がわかります。
移動についてですが、どこに向かって歩兵をどれだけ送り込むかをプレイヤーは決定しなくてはなりません。海を越える場合は、歩兵と同数以上の軍船が必要となります。船の存在は、基本的には輸送のためです。
大軍を海外に送るばあいは、それに合わせた数の船が必要になります。このあたりの管理がちょっと面倒ですね。
戦闘と勝利条件について
ターンがおわったのち、兵を送った先に敵兵がいれば戦闘が発生します。ただし戦闘が行われるのは、ターンが終了したあとです。
そうですね。戦闘はターンが終わったときにまとめておこないます。
そして基本的に守備側が有利にできています。守備側は要塞化によって守備力を上げることもできますしね。
そのため、攻撃側はかならず敵よりも多くの戦力を送り込むようにしましょう。あらかじめスパイをおくって、移動先の情報を知っておくことは重要です。一か八かで攻撃して、兵力を失ってしまったら無駄死にというものです。
それとゲームのコツですが、スタート時は列強相手にたたかうよりも、誰も手のつけていない地域を占領していくのがいいでしょう。戦闘をしないで領土が得られるのであれば、それに越したことはありません。どうしても戦わなくてはならないときにだけ戦闘をするのが効率的です。
ゲームの勝利条件ですが、どんどん領土をうばっていき、目的のVP(勝利点)まで先に達成した国が勝ちとなります。このあたりのルールもボードゲームのようにわかりやすくなっています。
総評
本作の総評ですが、ゲーム自体は正直 『Magnifico』のほうが戦略性もあって面白いです。
本作でできることは、基本的に移動と戦争だけなので、いかに大きな数で相手にぶつかるかということぐらいしか頭を使うところがありません。
またゲーム前半は空いている領地をさがして早いもの勝ちで取り合うだけなので、作業感が半端ないです。
しかもマップがひろいので全体を把握しづらい。ゲームが単純なだけに、これはどうなのかという気がします。
ボードゲーム的につくったのであれば、前半からプレイヤーどうしが積極的にからんでいけるような展開がほしかったです。
戦闘もターンが終了したときにまとめておこなうため、べつのところで勝手に戦闘が起きている感じがしてどうにものめりこめません。
Paradox社の「Victoria」シリーズを持っているなら、わざわざ買う必要はないかと思います。
それと『Magnifico』をもっていないのなら、そちらを先に買うことをおすすめします。
植民地時代という雰囲気がいいだけに、個人的にはちょっと期待はずれなゲームでした。