『コンコルディア: デジタルエディション』レビューと評価・感想―ドイツボードゲームの最高峰|Concordia: Digital Edition
ローマ帝国時代を舞台にした名作戦略ボードゲーム「コンコルディア」のデジタル版『コンコルディア: デジタルエディション』。
Acram Digitalによって、2021年9月28日にSteamで配信されました。
「ロンデルシステム」で知られるマック・ゲルツ氏の作品ですね。「ロンデル」は「車輪」の意味で、時計の針のようにゲームは一方向に進んでいき、一歩前に戻るためには一周しなけれなりません。プレイヤーは常に前進しなければならず、どんどん減っていく選択肢の中から最良のものを選択する必要があります。本作でもこの「限定された選択肢」の概念は取り入れられています。
実物版のほうは2013年に発売され、2014年にはドイツ年間ゲーム大賞の「年間エキスパートゲーム大賞」にノミネートされています。
シンプルなプレイルールと、奥深い戦略性から「戦略ボードゲームの完成形」ともいわれていますね。
今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
どんなゲーム?
ストラテジー系のボードゲームは準備が大変だったり、ルールを覚えたりするのが大変ですが、本作は自分の手番にカードを一枚出すだけというお手軽さです。
それでいて運要素は無く、奥深い戦略性のあるゲームになっています。
プレイ人数は6人まで遊べますが、推奨は2~5人です。
戦争をするゲームではなく、プレイヤーはローマ時代の名家となり、各地の都市に家を建て、商業ネットワークを築きます。
基本的には開拓者(開拓船)を移動させ、各地に家を建てるという作業がメインになりますね。
ゲーム開始時には7枚の手札が配られ、これを出すことで建築や商取引、カードの購入などができます。自分のターンで出せるのは1枚だけです。
出したカードは捨て札に送られ、「護民官」カードをつかわないかぎりは回収されません。
そのため、プレイヤーは常に、どの順番でカードを出すかを考えつづけなければならなくなります。
点数の取り方としては「家を建てた数」「開拓者の数」「物品の合計点数」など6種類あります。最終的に勝利点の一番多いプレイヤーが勝者になります。デジタル版なので、このあたりの点数計算がリアルタイムでわかるのは便利ですね。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「賛否両論(63%、22人中)」になっています。
バグがあることと、オンラインまわりに問題があることが不満の原因ですね。ゲーム自体は「コンコルディア」そのものなので、面白くないということはないでしょう(そもそも「コンコルディア」をプレイしたくて購入しているのですし)。
本作の良かった点・悪かった点については以下のとおりです。
・「コンコルディア」が手軽に遊べる!
・オフラインでの対人戦ができるので、ゲーム盤を広げる必要がない。
・今後のDLCで拡張にも対応している。
・対人戦でもAIを混ぜて戦える。
・カード効果のバグがある(「外交官」カードなど)。
・オンラインプレイに難あり。
・画面情報が見づらい。
・手札のカードに神の名前が書いていない。
もとが「コンコルディア」なのでゲーム自体に不満はないのですが、それゆえに、オンラインやバグなど細かい部分での不満が目につきますね。
とくに、手札のカードに神の名前(勝利点の種類)が書かれていないのは、初心者には厳しい気がします(一覧表を見ることはできますが)。
このあたりはアップデートで直してもらいたいところです。
総評
なんにしろ、手軽に「コンコルディア」が遊べるというのはいいですね。
コロナ禍で人も集まりにくいですし、AI相手にさっと対戦できるのは良い点です。
今後、DLCで拡張も配信されます。「シーズンパス」(3090円)を購入すれば全部そろいますので、現物を全部そろえるよりはかなりお得でしょう。拡張のお試しプレイのために購入するのもありかなとは思います。
拡張は「サルサ」「フィッシュマーケット」「ビーナス」「コルシカ&ガリア」「エジプト&クレタ」「ブリタニア&ゲルマニア」があります。
拡張に優れたゲームなので、拡張もプレイしてみてください。