『RPGツクールMZ』レビューと感想・評価:前作のマイナーチェンジ【Steam新作】
RPGツクール最新作『RPGツクールMZ』。KADOKAWAが開発し、Degicaによって2020年8月21日にSteamで配信されました。
まさにその「根気さえあれば」のところが重要ですね。
正直なところ、宣伝文句にある「誰でも手軽に」は言いすぎな気もしますが、頑張ればプログラム知識がなくても見栄えのするゲームを作ることができます。
ちなみに筆者は、SteamにあるRPGツクールを『RPGツクール2000』からすべて所持しています。昔のは日本語対応していませんでしたが、いまは普通に日本語が使えるのは便利ですね。ただ昔のほうがシンプルで作りやすいかなという気もします。
今回は本作のレビューと感想、前作との相違点、評価をお届けします。
どんなツール?
説明するまでもないとは思いますが、本作はプログラミングの知識なしでRPGを手軽に作ることのできるツールです。
実際に本作を使った作品を販売し、巨万の富を得ている人たちもいます。
まあ、無料ゲームサイト「ふりーむ」で無料公開して、みんなに遊んでもらうといった使い方が一般的かなという気はします。
本作でいうところのRPGとは、おもに見下ろし型の2D作品ですね。戦闘はいわゆるコマンド入力型のものになります。ドラクエ的な一人称視点のものや、FFのようなサイドビューのものが用意されています。
しかも機能をうまく応用すれば、アドベンチャー系のホラーゲームやアクションゲーム、シューティングゲームなどを作ることもできます(スクリプトの知識があって、根気があれば)。
ゲームを作り上げるにはそこそこの学習は必要で、「誰でも簡単に」というほど簡単にできるわけではありませんが、プログラムを1から組むよりはだいぶ簡単です(筆者はプログラムを1から組んでいた時代の人です。そのときにこれがあればと)。敵の強さの管理を自動でやってくれたりなど、便利機能が満載です。
物語中に挿入されるイベントなども、簡単に組み込めます(これを応用すればアドベンチャーゲームが作れます)。まさに応用次第で無限の可能性を秘めたツールといえます。
前作との違いについて
正直なところ、前作とは大きく変わらないのですが、いろいろと便利にはなっています。
さすがにいつまでも解像度の低い画面では、現在のモニタ事情に対応できません。本作ではHD画質に対応しました。
また戦闘のエフェクトに、エフェクト作成ツール「Effekseer」のファイルを直接組み込むことができるようになりました。これでゲームの表現の自由度が増すとは思います。
あと一番大きいのは、「移動ルートの可視化」ですね。
これまでイベントでキャラを動かそうと思うと、「上上右右上上……」などとマス目を数えながら決めていかなくてはなりませんでした。
しかし本作ではマップ上でどこを歩くかが直接表示されます。これで「歩数を間違えて変なところへ歩いていった」みたいなミスが修正しやすくなるでしょう。
またスマートフォンに対応した操作も便利な形に変更されています。
コモンイベントの上限が2000になったり、フォントやフォントサイズの変更ができたりなど、これまで不満のあったところが強化されています。
また『RPGツクールMV』のプロジェクトを開くことも可能です(ただしプラグインは除く)。
プラグインの管理ツールもあるので、どこから取ってきたプラグインかわけがわからなくなるということも少なくなるでしょう。
全体的には前作のマイナーチェンジバージョンといったところです。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「賛否両論(60%、69人中)」になっています。
本作の良かった点・悪かった点については以下のとおりです。
・高解像度へのデフォルト対応。
・ターン制だけでなく、速度順に行動する「タイムプログレス戦闘」を導入することができる。
・BGMが良くなった。
・テストプレイなどの読み込み速度が速くなった。
・基本的には『RPGツクールMV』とほぼ変わらない。
・タイルセットがMVとおなじ。目新しさがない。
・ぶっちゃけMVでプラグインを組み込めば、だいたいおなじことができる。プラグインが多い分、MVのほうが現状は使いやすい。
使いやすくなったことで好評を得てはいますが、前作ユーザーからすると「あまり大きな違いを感じない」といったところですね。
プラグイン無しでいろいろできるようになったのはいいのですが、逆にMVにプラグインを組み込めば違いがほとんどないともいえます。
ユーザーを驚かせるほどの大きな違いがないのは残念といえるでしょう。
総評
本作はやはり『RPGツクールMV』のマイナーチェンジバージョンといったもので、前作を持っていて、使い慣れていれば、わざわざ買う必要はないかなという気もします。
重要なのは「ゲームを作ること」であって、「ツールを遊ぶこと」ではありませんので。
どんなツールで作ろうが、ゲームをプレイするユーザーからすればどうでもいいことです。
MVで作ろうが、MZで作ろうが、遊ぶ側としてはほとんど区別がつかないでしょう。ゲームが面白いかどうかのほうが重要ですね。
現状、プラグインもMVのほうが豊富ですし、むしろ本作でできないこともいろいろあります。
前作があれば、高い金額を出してまで買うほどではないかなというのが感想です。現状、ゲーム制作に困っていなければ、すでに持っているMVを使えばいいとは思います。
ただ、MVを持っていない、もしくはRPGツクールに触れたことがないという方は、本作を購入することをおすすめします。
やはり使いやすさは向上していますので、最新のツールでゲーム開発をしたほうがいいでしょう。
すでにMVを持っている人は、今後どう発展するかを見つつ、セールを待つのもいいかとは思います。