Steam版『Talisman: Origins』レビューと感想・評価:一人用に特化した『タリスマン』【ボードゲームレビュー】
名作ファンタジーボードゲーム『タリスマン』を一人用に特化させたデジタルボードゲーム『Talisman: Origins』。 Nomad Gamesによって、2019年5月16日にSteamで配信されました。
最初に配信されたのがシングルプレイ用の『Talisman: Prologue』で、そのあとにマルチプレイに対応したデジタル版『タリスマン』が出ましたからね。さらにまたシングルプレイに戻ったという形でしょう。
今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
どんなゲーム?
本作はボードゲーム『タリスマン』をシングルプレイに特化させたものです。
『タリスマン』は海外の有名ファンタジーボードゲームで、筆者も現物を遊んでいました。
すごろくのように盤面をまわりつつ、ボード中央にある「支配の王冠」まで先にたどり着いたプレイヤーが勝利するという内容です。
日本では2008年にホビージャパンから日本語版『タリスマン~支配の王冠と危険な探索から』が発売されていますが、あまり売れなかったのか、拡張「死神の影」が出ていこうは音沙汰亡くなりました。
2020年3月には協力型ボードゲームとして『タリスマン:伝説の勇者たち』がホビージャパンから発売されています。
ただこれは、世界観は『タリスマン』を引き継いでいるものの、内容は完全に別物です。そもそも足の引っ張り合いが醍醐味の『タリスマン』において、この新作ではあろうことかプレイヤーが協力するというゲームになってしまいました。
もとのほうの『タリスマン』ですが、面白いことは面白いものの、ボードゲームとしてはさまざまな問題点を抱えています。
とくにゲームの運要素が強いことや、クリアまでがあまりに長いことが問題に挙げられます。
最後の王冠の間にたどり着くのは本当に大変で、仮に全プレイヤーが協力したとしてもサイコロ運が悪いとなかなかクリアできません。
そのためリアルで遊んでいたころは、なかなかゲームを終わらせることができず、「とりあえず誰もいいからクリアしてくれ」みたいな空気になってしまっていました。
『Talisman: Origins』においてはこのあたりを改善し、「ゴブリンを倒せ」などのクリアに時間がかからなそうな勝利条件(あくまでフルゲームと比べて)を複数用意し、プレイヤーはそれを達成すればステージクリアとなります。
これによって『タリスマン』のダラダラとしたプレイが避けられます。
現在はDLCも配信され、本編のシナリオをクリアした人もさらに楽しむことができます。
目標を持って『タリスマン』をプレイしたり、その世界観に浸りたい人には打って付けのゲームといえるでしょう。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「非常に好評(82%、87人中)」となっています。
本作の良かった点・悪かった点については以下のとおりです。
・『Talisman: Prologue』がより深みを持って戻ってきた。
・『タリスマン』が好きなので、こういう形でキャンペーンをプレイできるようになるのは良い。
・友達がいなくてもプレイできる。
・ゲームにストーリー性がある。
・勝利目的が違うだけで、あくまでゲームは『タリスマン』。それが合わなかったら、本作も合わない。
・運要素が強い。
・キャンペーンによってはゲームバランスが悪く、勝利するのがかなり困難。
そもそも『タリスマン』がベースなので、『タリスマン』好きな人には無条件で受け入れられるものとは思います。
一方で、運要素が絡むので、シナリオによってはクリアが難しかったり、長い時間プレイしてクリアできなかったりなど、イライラするところもあるでしょう。
『タリスマン』自体が楽しめるかどうかで、作品の評価が分かれてくるとは思います。
総評
本作は『タリスマン』をシングルプレイにしたものですが、その背景にあるストーリーやクリア条件などによって、作品により深みを持たせることができています。
ただ、やはり本編とおなじように運要素は強く、長時間のプレイの末になにも達成できなかったということもあります。このあたりはダイス系ボードゲームの宿命といいますか、そもそも『タリスマン』自体の運要素が強すぎるという点も問題としてあげられます。
とくにボード4辺で起こるダイス目でのイベントはバランスが悪すぎるので、新版を発表していい加減修正してほしいかと。もう昔のゲームですしね。
『タリスマン』が好きな人は、買っておいても損はないかと思います。