『Imperator: Rome』はなぜ流行らないのか【レビュー・感想・評価】
ローマ時代を舞台にした戦略ストラテジーゲーム『Imperator: Rome』(Ver2.0.4)。
Paradox Development Studioが開発し、Paradox Interactiveによって2019年4月26日にSteamで配信されました。
その後、DLCもいくつか発売され、アップデートも繰り返されて、発売当時からは結構よくなっています。インターフェイスも変わっていますね。

プレイ動画も少ないですし、やったところでアクセス数が稼げないため、みんなやめていくといったところですね。

それ以前に、ローマ時代がとっつきにくいことや、微妙に複雑でとっつきにくいという問題もあります。
最近また遊ぶようになったので(DLC全部入り)、今回は本作のレビューと問題点について語っていきたいと思います。
『Imperator: Rome』はなぜ流行らないのか
まずゲーム自体のシステムやレビューについてです。
本作は『Europa Universalis IV(EU4)』をベースにして、『Crusader Kings(CK)』シリーズのような一族・人間関係システムと、『Victoria(VIC)』シリーズのようなPOP・交易システムを搭載しています。
ようするに『EU4』に『CK』『VIC』シリーズの要素を混ぜてみました的な内容になっています。

ゲーム的には『CK』シリーズに近い感じです。『CK』シリーズのようにたくさんの人物が登場し、それらと友達になったり、役職につけたり、暗殺など陰謀を図ったりなどといったことができます。
また兵士は基本的に常駐ではなくて(軍団を作って常駐もできますが維持費がかかります)、戦争時に召集兵を動員する形になりますね。戦争が終わったらひっこめます。

『VIC』シリーズ的な要素ですが、貴族・市民・自由民・部落民・奴隷といったPOPがあり、それぞれに幸福度が設定されています。これらのPOPは地域間を移動したりもします。
また交易ですが、これは単純にバフになっており、たとえば「穀物を輸入すると区画の食料+5」とか、「皮革を輸入すると軽歩兵の防御+10%」とか、かなりわかりやすくなっています。交易できる数が決まっているので、どのバフを取るかを決めるということですね。

そのため、ルール把握自体は、『CK』シリーズを遊んだことがあればすぐに理解できるとは思います(『EU4』しか遊んだことがないとちょっときついかもしれません)。
それで現在のレビューですが、「賛否両論(63%、18500人)」となっています。

実際にプレイしてみて、「まあ、そんな感じの評価だろうな」と思いました。そのことについて述べていきます。
わかりづらいチュートリアルとシステム
本作にはチュートリアルがあるのですが、「この課題をやれ」というのがずらずら並んでいるだけです。
やり方を教えてくれるわけではなく、課題があたえられているだけなのですね。それを自分で解いていかないといけないわけです。

いちおうヒント的なことは書かれているのですが、それらができるのは『EU4』や『CK』シリーズをプレイしたことのあるプレイヤーが前提みたいな感じなので、本作が初パラドゲーという方にはかなりきびしいとは思います。
とにかく他のパラドゲーをプレイしたことがある前提で書かれているような説明文なので、細かい説明をいろいろすっとばしているわけです。

『EU4』や『CK』シリーズは情報が多いのですが、本作はそもそもの情報が少ないというのもあります。
そして兵士の徴募兵の増やし方などの説明もないので、どうやって増やせばいいのかもわかりません。実際は主要文化・受容文化のPOPが増えれば徴募兵も増えるのですが、そういうのも初心者にはまったくわからないわけです。

さらにいうと、兵士たちには前列・後列・側面の配置もあって、どこがどう効果があるのかもわかりづらい。
他にもいろいろこまごまとしたことがありますが、情報の少なさも相まってとっつきにくいシステムになってしまっています。
淡泊な人間関係
『CK2』のようにいろいろな人物が登場して、それらを役職につけたり、軍をまかせたりということができるのですが、かなり薄味な感じになっています。
そもそもそれらのキャラクターの存在感があまりないのですね。
存在感があるところといえば、たとえば有力な一族の人たちを指定数役職につけないといけないときと、忠誠度が低くて反乱を起こしそうなときぐらいで、それ以外は正直どうでもいいような感じになっています。
プレイヤーは『CK』シリーズのように一族を担当しているわけではなくて、国家を担当しているので、そのリーダーが誰になろうと大きな問題ではないのですね。

『CK』シリーズのように「後継者がいないからどうしよう」みたいなあせりもありません。ローマはしょっちゅう選挙してリーダーが変わりますので、正直そのリーダーの人間関係とかどうでもよくなってきます。
時代が微妙
『Europa Universalis: Rome』だとハンニバルとかスキピオとかの有名人が活躍した時代を遊べるのですが、本作の場合はローマがこれから勢力を伸ばすという紀元前304年からが舞台になっています。そのため、一般にはあまりなじみのない時代ともいえます。
いくつかの時代を選択できたらよかったのですが、ゲーム開始時点は決められてしまっています。ポエニ戦争あたりだけ遊びたいみたいなプレイが困難なのですね。これがゲームの飽きやすさにもつながってしまいます。
しかもリーダーは特定の有名人物ではなく、状況や選挙でコロコロ変わります。歴史好きな人にも感情移入しにくいかなとは思います。

蛮族多すぎ問題
昔遊んだパラドックスの『Europa Universalis: Rome』でもそうだったのですが、なんかやたらと大量のガリア人が出てきて襲ってきます。3万とか5万とか万単位でくるのですね。
それらとひたすら戦うというのが『Europa Universalis: Rome』でしたが、本作でもその名残のようなものがあり、山から蛮族が万単位でわんさかと湧いてきます。
山地の多い国家でプレイすると、これらをひたすら処理するみたいなゲームになってしまいますね。これが嫌な人はそういう場所にある国を選ばない方がいいでしょう。
まとめ
そんなわけで、歴史ゲームとしてもあまり歴史に沿っているわけではなく、『CK』シリーズのような人間関係ゲームとしても淡泊で、さらにPOPとかいろいろわかりにくい要素が詰め込まれているため、「どこに集中していいのかわからない」という問題点があります。

『Europa Universalis: Rome』もゲームとしては淡泊でしたが、あれはあれで歴史を感じられる部分があったので悪くはなかった気はします(気がするだけかもしれませんが)。
本作も悪くはないのですが、システムがとっちらかってる感じが強いので、そのあたりを整理してくれればいいかなとは思います。
全体的なオーバーホールをしたMODに「Imperator: Invictus」というのがあるので、プレイする方はこちらも試してみるといいとは思います。