『Second Front』レビューと評価・感想ー「Advanced Squad Leader」的なボードゲーム感あふれるWW2ストラテジー【Steam】
第二次世界大戦を舞台とした、ヘクスマップのターン制ストラテジー『Second Front』。
Hexdrawが開発し、MicroProse Softwareによって2023年1月31日にSteamで配信されました。
プレイ感覚はだいぶ違いますね。攻撃時にいろいろな判定をしなければならず、テーブルトークRPGの戦闘をしているような感じがあります。
今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
どんなゲーム?
本作は第二次世界大戦時のドイツ・ロシア・アメリカの戦いを舞台とした、ヘクスマップでのターン制シミュレーションです。
タイトルの「Second Front」は「第二戦線」のこと。主要戦線以外に戦線を置き、敵兵の分散を促します。ドイツとソ連が向き合っていたときに、その背後を突く形となる「ノルマンディー上陸」が有名な第二戦線ですね。
本作では、ゲームスタート時に配置されたユニットを使用して、シナリオの勝利条件を目指します。もととなっているのはバビロンヒル社の伝統的なWW2ヘクスマップ戦略ボードゲーム「アドバンスト・スコードリーダー (Advanced Squad Leader)」(以下「ASL」)ですね。
1ターンは5つのフェーズになっています。「移動&攻撃」→「敵の攻撃」→「逃走(潰走状態の部隊の移動)」→「追加行動(歩兵は1タイル進めます。射撃は不可)」→「近接戦闘(「追加行動」フェーズで、歩兵が敵のいるマスに侵入した場合に発生)」の5フェーズをこなさなくてはなりません(敵も同様)。
本作の戦闘ですが、テーブルトークRPGのように様々な判定があります。
例えば機関銃や機甲ユニットを使う場合は「故障率」があり、この判定に成功(というか失敗)してしまうと、回復させるまで攻撃や移動ができなくなります。
また歩兵で敵戦車に近接戦闘を仕掛ける場合も、「対戦車勇敢さ判定」をおこない、これに成功してから攻撃判定をおこないます(失敗した場合、その場から動けなくなる)。
歩兵には「匍匐(ほふく)」「歩く」「走る」があり、「走る」を使うと移動距離が伸びますが、攻撃ができなくなります。また2ターン続けて走ることはできません。
「匍匐」をすると、畑や林、建物などの地形では隠密ボーナスが付き、この状態で敵に近接戦闘を仕掛けると奇襲ボーナスが発生します。
例えば敵が籠っている建物にひそかに接近して、近接戦闘を仕掛けるなどですね。
戦車のデータも細かく、タレットと車両のそれぞれの前方・側面・後方にアーマー値が設定されており、上部ハッチを開けて乗組員が顔出しで行動したり(移動距離が伸びるが、一部の兵装が使えなくなる)、エンジンを止めたり付けたりしたり(止まっている時は命中率が爆上がりする)、様々な武器で攻撃したりなど、戦車好きにはなかなか楽しめる仕様になっています。
ボードゲームのウォーストラテジーが好きな人にはおすすめの内容になっています。
あとチュートリアルがかなり簡略化された内容なので、タイトルにある「マニュアル」からPDFマニュアルを閲覧したほうがわかりやすいでしょう。テーブルトークRPGのルールブックみたいで、読んでいてなかなか楽しいです。
それとマップ・シナリオ・キャンペーンエディタがついていますし、Steamのワークショップで他のユーザーの作ったものも落とせるので、いくらでも遊べる感じの作品になっています。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「やや好評(79%、226人中)」になっています。
筆者は好きですが、普通のターン制ストラテジーを期待した人には合わないかもしれませんね。
本作の良かった点・悪かった点については以下のとおりです。
・PCで「ASL」が遊べる感じがすばらしい。
・謎解きのようなシナリオ。
・ボードゲームを遊んでいるようなゲーム処理。
・エディタも付いており、自由度の高いデジタルボードゲーム。
・ランダム性に重点が置かれており、当たらない時はびっくりするぐらい当たらない(ある意味、テーブルトークRPGっぽい)。
・チュートリアルが簡単すぎる。基本的にPDFマニュアルを読み込まなくてはならない。
・建物内の敵など、位置が把握しづらい。
・AIが強すぎる。
ゲーム自体、かなり癖が強いので、「大戦略」的なヘクスマップを求めるユーザーにはあまり合わないかもしれません。別ゲーレベルで違う作品になっています。
逆にボードゲームのウォーストラテジーが好きなユーザーには合う作品でしょう。
総評
本作はボードゲームやテーブルトークRPG的な、様々な判定を必要とするターン制ストラテジーです。
一般のPCゲームのように、生産しまくって物量で相手をなぎ倒すということはできず、ゲーム開始時のシチュエーションからどうやってシナリオクリアするかを考えていく作品になっています。
シナリオによっては、一種の謎解きのような感じで攻め方を考えなければなりません。PDFマニュアルはしっかり読んでおいたほうがいいでしょう。
筆者のように、ボードゲーム好きな人には合う作品とは思います。