『百英雄伝』クリア後の評価ー意欲作だが不満点は多め【ネタバレあり】
『百英雄伝』をクリアしたので、クリア後の評価をしていきます。
『幻想水滸伝』がおもしろかったので、本作も結構期待しながら遊んでいました。
いろいろと『幻想水滸伝』の要素を引きついではいますが、現在遊ぶにしては不便な要素が多かったです。それらも併せて、良かった点・悪かった点について述べていきます。ネタバレありなので注意してください。
ネタバレがいやな方は、以下のレビューを参照してください。
『百英雄伝』クリア後の評価
本作は遊び心も多く、光る部分はたくさんあったのですが、システム面の不便さや、魔法使い系や盗賊系キャラクターが活躍しにくいなどの問題点も抱えています。それらについて述べていきます。
脳筋至上主義の戦闘
本作は魔法使いの燃費が悪く、何度か呪文を唱えるとすぐにMPが枯渇してしまいます。
たとえばヒーラーの全体回復呪文ですが、MPコストが高いため、全体回復アイテムを使ったほうが手軽で便利です。
そうなるとそもそもヒーラーを連れていく必要がなくなります。ヒーラーを連れていくぐらいだったら、攻撃力・防御力のある仲間を連れていったほうがいいでしょう。
攻撃魔法についてもそうで、とにかく消費MPが大きいため、数回しか唱えることができません。
そうなるといつまでも戦い続けられる戦士系のほうが便利なわけです。
さらにいえば、戦士系でも防御力がないとつかいものになりません。
本作のダメージ計算は、一定の防御力以上なら一気に被ダメージが減るので、回復回数を減らすという意味でも防御力の高い仲間を連れていくことが重要になります。
つまり、攻撃力が高くて防御力が高いキャラクターだけでパーティを埋めてしまえば、戦闘はかなり有利にすすめられます。
回復アイテムを十分に持っていればそもそもヒーラーも必要ありません。
魔法使いを使いたければ、イーシャやミランなど、MPを消費せずに全体攻撃をすることができるうえに、防御力も高い仲間を選ぶ必要があります。
防御力がないと、戦闘の持続力がありませんしね。回復アイテムも無駄にたくさん使わなければならないことになります。
さらにいえば素早さ重視の回避系キャラクターも、本作のシステムでは生きにくくなっています。身軽な盗賊系とかですね。
ゲーム開始時からやたらと強キャラ感を出してくる侍のミオ姉さんですが、防御力が低いうえに攻撃力も低いので、すぐに戦力外になってしまいます。
あとスピンオフ作品である『百英雄伝 Rising』の主人公・CJですが、素早さを売りにした盗賊系なので、本作では活躍しづらい存在になっています。攻撃力・防御力が低いですしね。
一方で、仲間のガルーとイーシャは防御力があるので強い。そのため、3人一緒に活躍させるのが難しくなっています。
それとユメやシャンドラなど、2枠を消費してしまう大型の仲間ですが、2枠消費するからといって強いわけではないのも問題です。
これなら普通に2人いたほうがトータルダメージも大きくなるし、戦闘中にとれる行動も多くなります。
英雄コンボが使いづらい
本作の戦闘で、特定の仲間が協力して攻撃する「英雄コンボ」ですが、これもかなり使いづらいです。
一番の問題点は、英雄コンボを使ったからといって、十分なダメージが出るわけではない点ですね。
各キャラがバラバラで攻撃したほうが、トータルのダメージは大きいという現象も起こっています。
せっかくのコンボなので、ケチらずにダメージ倍率を上げてくれたらよかったのにとは思います。
つかって得すると思わせるような英雄コンボにしてほしかったですね。
移動速度・戦闘速度が遅い
本作はマップ上での移動速度が遅く、それを補うためのブーツを履いたり、サポートキャラクターにエアを入れたりしなくてはなりません。
ブーツを履くと一つしかないアクセサリ枠が埋まってしまい、サポートにエアを入れると一つしかないサポート枠が埋まってしまいます。
一度快適な移動を体験してしまうともとに戻せなくなるため、けっきょく枠は埋まったままになってしまいます。
他のRPGならダッシュボタンがあったりするのですが、本作では逆に歩くボタンになっており、スピードダウンしてしまいます。
それと戦闘も遅いですね。現代のゲームということで、オート戦闘のときは早送り機能があってもよかったかと。
ユーザービリティの面は、もっと快適にしてほしかったと思います。
パーティ入れ替え・ルーン付け替えが面倒
本作では、パーティ入れ替えは拠点か宿屋でおこないます。
サポートにカサンドラを入れることでセーブ地点でもパーティ入れ替えがおこなえますが、ゲーム中盤以降は前述したエアにサポート枠を占拠されてしまいます。
こういう縛りは、ただユーザーを不便にするだけなので必要ないかなとは思います。
それとルーンの付け替えも、ルーン屋や拠点でしかできません。これぐらいのことならいつでも変えられるようにしてもいいとは思いますし、それがだめならせめてセーブポイントで変えられるようにしてもよかったのではないかと思いました。
キャラクターボイスが多い・ミニゲームは凝っている
良かった点としては、キャラクターがボイス付きでよくしゃべってくれるということです。
仲間が多いとそれだけ会話も増えていきますね。
さらにレースゲームなど、ミニゲームがやたらと凝っているところですね。
とくに演劇では、好きな仲間を好きな配役に設定して、演じさせることができます。全キャラ分のボイスがあるので、いろいろな組み合わせを楽しむことが可能。むだに力が入っています。ここは本当にすごいと思いました。
ただし料理対決が無理ゲー
本作のミニゲームである料理対決ですが、アップデート前までは卵料理を出していれば勝てていました。
しかしアップデート後はこれが修正されてしまい、ほぼ無理ゲーみたいな高難易度になっています。
料理対決の問題点として、最初に審査員の紹介やらなんやらのセリフがあり、スキップできないのですね。
料理をつくるのにも時間がかかりますので、負けるとかなり気力を削られます。もう一度やろうという気がおこらなくなるのですね。
審査員ごとに好きな料理があるので、それを出すという方法もあるのですが、出したからといって勝てるわけではありません。
審査員は4人いるのでが、一人が最高得点である5点を出したからといって、残り3人の審査員が高得点を出すとはかぎらないからです。
とにかく1試合が長いので、何度もやる気力がなくなります。
アップデート前にクリアできた人は大儲け、アップデート後はご愁傷様といったところです。
レベル差問題はある程度解決
仲間キャラクターがたくさん出てくる作品の問題点として、「仲間同士のレベル差が大きくなって、低レベルのキャラクターを育てる意欲がなくなる」というのがあります。
戦士よりマッチョな魔法使いとか、レベル差は本当にいろいろ萎えてしまいます。
本作では敵との強さの差に合わせて、獲得できる経験値が大きくなります。そのため、仲間のレベル上げも比較的簡単におこなえるのですね。またサポートのこの点はよかったと思います。
ストーリー分岐
本作ではストーリー分岐があります。
筆者的に、JRPGはオープンワールドではないので、ストーリー分岐はプレイ時間を無駄に増やす悪手だと思っています。
長いストーリーをもういちど繰り返させて、ところどころちょっと違うみたいなのは時間の無駄なので本当にやめてほしいです。
まとめ
本当にいろいろ光るところは多いのですが、ユーザーの利便性に力を入れていないというのが問題点とは思いました。
「古き良きJRPG」の意味を「不便なRPG」にはき違えてしまっているのなら、かなり問題はあります。
あくまでユーザーがプレイしたいのは「最新システムでプレイできる古き良きJRPG」であって、先祖返りがしたいわけではありません。
パーティやルーンの入れ替え、移動速度など、ユーザービリティを向上させる仕組みは最初からつけていてもよかったのではないかと。
こういうのはゲームの本質とは違う部分なので、快適なプレイをさせたうえでゲームを楽しませるのがよいかと思います。