『事故物件』評価は「非常に好評」:事故物件のアパートを舞台にしたホラー【ゲームレビュー】
前々回『夜勤事件』のレビューをしたところ、「他の作品のレビューも」との要望があったので、チラズアート作品を一挙レビューしてしまおうかと。今回は『事故物件(Stigmatized Property)』という、タイトルどおり事故物件のアパートを舞台にした短編ホラーゲームです。
本作はチラズアートによって、2019年10月25日にSteamで配信されました。チラズアートは兄弟でゲームを開発しているというインディーデベロッパーで、チンチラの「Chilla」から名前を取ったそうです。和風ホラーをテーマにした作品を多数開発しています。
今回は本作のレビューと感想、評価をお届けします。
どんなゲーム?
本作は事故物件をテーマにした一人称の短編ホラーアドベンチャーゲームです。
事故物件とは、そこに住んでいた人がなんらかの理由で死亡してしまったといういわく付きの物件のことです。一般的には、そういう物件は売れにくく、安く取引されています。
ただ立地が良ければ普通に売れたりしますし、最近では事故物件専門の不動産というのも存在します。
人は毎日亡くなっていますし、いま住んでいるところも昔は戦場だったかもしれませんし、気にしなければ物件が安く手に入っていいのではないでしょうか。
筆者的に本当の事故物件というのは、近所に暴力団とかヤバイ人が住んでいるとか、近所の騒音がひどいとかそういうのだと思います。生きている人間のほうが面倒ですし、実害があります。
そんなわけで話を戻しまして本作なのですが、事故物件に引っ越したという友達の家に遊びに行くところから始まります。一人称視点で、じっさいに夜の狭い路地を進んでいって、アパートを探さなくてはなりません。
着いてみれば友人が部屋にいません。隠してあった鍵を使って室内に入ってみると……といった内容です。
短編なので1時間もあればクリアできるでしょう。エンディングは2種類あります。
それとビックリ系演出(音で驚かす系のもの)があるので、そういうのが苦手な人や心臓が弱い人は注意です。
ユーザーの評価
本作のSteamでの評価ですが、「非常に好評(83%、225人中)」になっています。
良かった点を以下にまとめます。
・和風ホラーの雰囲気が良い。
・じわじわと来る恐怖感。演出が良い。
・値段(310円)の割にしっかりとした内容と作り。
・グラフィックに味がある。
・日本文化が好きなので気に入った。
和風ホラーということで、海外の方からの注目も集まっていますね。
西洋ホラーにはない、じわじわとした独特の「間」のようなものも本作の特徴といえます。
つぎに悪かった点をまとめます。
・アイテム集めに作業感がある。
・ビックリシーンの音量がおかしい。こういう驚かし方はスマートじゃない。
・2つのエンディングを見るためにやり直すのがだるい。
・クリアしても事故物件の理由がよくわからなかった。
・アパートのボロい外見に反して、中が立派すぎて違和感。
・酔いやすい。
ゲーム中でやることは基本的にアイテム探しなので、見つからないとイライラすることがあるでしょう。
またアパートの内装も、たしかに立派すぎるという気はしました。タイトルからしてボロアパートかと思っていたのですが。
それと酔いやすいことですが、狭いところで動きまわらなければならないので、たしかに酔いやすいです。筆者も3D酔いになりました。
少しでも気持ち悪くなってきたら、いったん休憩を挟んだほうがいいかと思います。
総論
本作は短編ながらも、和風ホラーのテイストを見事に表現した作品です。
とくに事故物件というテーマは、ある意味身近なものでもありますしね。
アイテム探しや酔いやすいという問題はありますが、値段の価値はあるかと。さくっとホラーを遊びたい人にはいいゲームではないかと思います。
ちなみに日本の事故物件はやたら安い値段で売り出されることから、海外の投資家たちから注目されています。事故物件の購入者や借り手の半数は外国人ともいわれていますしね。文化的な違いがありますし、気にしなければただのいい物件かもしれませんしね。